町田市立図書館講演会
「ゴヤの銅版画〜スペインの巨匠が見た時代の終焉
講師:和南城 愛理 氏


2006年2月26日(日)町田市立中央図書館に於いて、町田市立国際版画美術館の「ゴヤ版画展」開催を記念して、市立図書館と共催で標記の講演会が催されたので聴講した。題名からゴヤの銅版画のみの解説かと思っていたが、お話はゴヤの1746年の生誕から1828年の逝去までのゴヤの活動とその時代の歴史背景を織り交ぜながらの非常に充実した解説であった。特に、1797年の版画集「カプリチョス(気まぐれ)」、1810年の版画集「戦争の惨禍」、1816年の版画集「闘牛技」と「妄」のプロジェクターを使用した詳細な解説には感銘を受けた。この時代はフランスに於いてフランス革命が勃発して王政から共和政への移行時期でもあり、版画集「戦争の惨禍」では戦争の悲惨さが版画にも随所に表れている。特に、スペイン独立戦争に於ける有効な武器を持たないスペイン民衆の蜂起に対するフランス軍の攻撃は現在のイラク戦争を思い起こさせ、歴史は繰り返す感を深めた。版画集「カプリチョス(気まぐれ)」では絶妙に社会風刺が取り入れられており、巨匠ならではの意思表示がうかがえた。(ポスターはこちら)
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